こんにちは! 先週から連載が始まった「チゲ用土鍋で、らくらく韓国レシピ」。毎回、チゲ用土鍋トゥッペギ(뚝배기)を使った簡単なレシピを、「チゲ用土鍋つき らくらく韓国レシピ」の著者であり、料理家の松島彩がご紹介します。

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今回ご紹介するのは、韓国料理ではなく、日本でも馴染み深い卵とじのお料理。「トゥッペギで日本料理?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、世界各国のお料理に応用できるトゥッペギの良さを知っていただこうと、日本の家庭料理のレシピをご紹介することにしました。トゥッペギの便利さは、先週の連載でご紹介したとおりですが、今回もトゥッペギのよさを十二分に活かしたレシピになっていますよ。
冬の醍醐味、下仁田ネギ
わたしの母の実家が群馬県なのですが、毎冬、ぽてっと立派に太った下仁田ネギが届きます。この下仁田ネギ、ゆっくり加熱すると、驚くほど甘く、とろとろした食感が楽しめるのです。冬のこの時期になると、少し割高ですが、東京のスーパーでも見かけますよね。
我が家では、このとろとろの下仁田ネギと絹ごし豆腐を、カツオのおだしでコトコト煮て、最後に卵でとじていただくのが定番になっています。ふわふわの卵に優しく包まれた、とろとろのおネギ。ひとくち、口に入れれば、心も身体もほっこり! 芯から温まります。
また、油も使わないので、カロリーも控えめで、豆腐が入っていて腹持ちもいいのでダイエット中のおかずに最適です。
ところで、先日このお料理を食べているときに、韓国のケランチム(계란찜)にそっくりだなぁと思ったのです。ケランチムとはトゥッペギで供される「韓国風茶碗蒸し」。ただ、茶碗蒸しと訳されることが多いですが、どちらかというと卵とじに近いお料理です。ちなみに、日本の茶碗蒸しは、韓国語で「日本式ケランチム(일본식 계란찜)」と呼ばれているそうです。
わたしのレシピノートに書かれた2つのレシピを比較してみると、思った通り、調味料の構成要素がまったく一緒! 基本の味付けは、カツオだし(昆布だしの場合も)、みりん、塩、しょうゆ。ケランチムの具はネギとカニカマが定番ですが、それを下仁田ネギとお豆腐にすれば、今回ご紹介する「とろとろおネギと豆腐の卵とじ」です。韓国の家庭料理と我が家の定番料理に共通点を見つけ、なんだか嬉しくなった瞬間でした。
もちろん、ケランチムにも家庭それぞれの味があり、わたしのレシピとは違うものもあります。たとえば、昔ホームステイしていた寮母のケランチムは、塩の代わりに小エビの塩辛(새우젓)を使っていました。ほかにも、友人と好みのケランチムの味を話していたとき、「甘い卵は嫌いなので、我が家はみりんを入れない」という主張を聞き、日本人同士が、甘い玉子焼きの是非について議論する様子と似ているなぁと、可笑しく思ったものです。
みなさんも、お好みのケランチムの味を探ってみてはいかがでしょうか?
「とろとろおネギと豆腐の卵とじ」のレシピ(2人前)
それでは、とろとろおネギと豆腐の卵とじのレシピをご紹介しましょう。できれば、下仁田ネギを使って作ってほしいのですが、普通のネギでもおいしく作ることができます(でも下仁田ネギなら、もっともっとおいしいです!)。
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〈材料2人前
卵 3個
下仁田ネギ  1/2~1本
絹ごし豆腐  100g
カツオだし汁 180ml
みりん    大さじ2
      小さじ1
薄口しょうゆ 小さじ1
生姜     少々
白炒りゴマ  適量
〈下準備〉
1:卵はボールで解きほぐし、ざるで2回漉しておく。
2:下仁田ネギは広めの幅で斜めに削ぎ切り、豆腐は1cmの角切り、生姜は皮をむいて細い千切りにします。
〈作り方〉
1:トゥッペギに、だし汁を入れ、弱火にかけます。
2:煮立ったら、下仁田ネギ、豆腐、生姜、みりん、塩、薄口しょうゆを入れ、下仁田ネギに十分火が通るまで15分ほど煮ます。
3:2に卵を流し入れ、アルミホイルをふんわりと被せたら、5分間弱火で煮ます。その後、火を止めて5分間、余熱で火を通します。

4:最後に炒りゴマを散らして完成です。