※このコーナーは、『韓国語ジャーナル hana』の定期購読者に送付されている会報誌『hana通信』の「わっしーのマニアック韓国語」を再編集したものです。

【マニアック韓国語 Vol.9】動詞と形容詞の境界線の話

韓国語には、動詞と形容詞という大きな二つの単語グループがありますね。これらをまとめて用言と呼びますが、この二つはどのように区別されるかご存じでしょうか?

日本語の場合、動詞は「書く、見る」のようにウ段で終わり、形容詞は「高い、広い」のようにイで終わり、形容動詞は「静かだ、きれいだ」のようにダで終わるという形式の違いがありますが、韓国語では用言の辞書形はどれも-다が付くので、見た目ですぐに動詞か形容詞か判断するのが難しくなっています。

韓国語では、動詞と形容詞で形が変わる語尾があるので、そのどちらの語尾が付くかによって判断します。例えば、한다体の平叙形の語尾が-ㄴ/는다であれば動詞-다であれば形容詞といった具合です。

動詞と形容詞の二つは、このように語尾の付き方のパターンが少し異なるだけで根本的には同じ変化をする品詞なので、動詞のことを「動作動詞」、形容詞のことを「状態動詞」と呼び、同じ「動詞」の仲間としてまとめてしまう場合もあります。

動詞と形容詞は、こうして近い関係にあるので、しばしばお互いに行ったり来たりすることがあります。もともと動詞だった単語が、形容詞的な意味を表そうとして形容詞タイプの活用をしたりすることがあります。

その例の一つが、맞다です。맞다はもともと「当たる、合う、合致する」などの意味を表す動詞で、動詞タイプの活用しかありませんでした。ところが、徐々に「合っている」という状態を表すようになり、「正しい、その通りだ」という意味でも用いられるようになりました。

その結果、状態的な意味を表そうとして、한다体の平叙形に맞다という形容詞タイプの活用形を使うようになりました。

「あ、そうだ」というときの맞다!もこれです。맞는다!とは言いませんよね。

活用システムの根本が同じというのは、便利なようで、学習者にとってはややこしいこともあります。

例えば、감사하다という単語があります。漢字で「感謝」と書くことから、ついつい日本語の「感謝する」に相当する動詞だと思いがちです。

しかし、実は動詞の他に「ありがたい、うれしい」という形容詞の用法も持っており、一般的には形容詞がよく使われます。고맙다の漢字語版ということです。

なぜ形容詞かどうか分かるのかというと、한다体で정말 감사하다.という形になったり、引用されると감사하다고となったりするためです。정말 감사한다、감사한다고ではないということですね。

こうしたややこしい例は、特に日本語と漢字が共通している漢字語に多く見られます。겸손하다(謙遜–)は「謙虚だ、腰が低い」という形容詞ですし、쇠약하다(衰弱– )も「弱っている」という形容詞です。

ただよく考えると、쇠약한 사람(弱っている人)のことを「衰弱した人」と訳しても、うまくいってしまいますね。

実は動詞の過去形というのは、動作が終わった後の状態まで同時に表して形容詞としての働きを持つことが多く、さまざまな言語で見られます。例えば英語の過去分詞brokenは、同時に形容詞「壊れている」としても使われます。

韓国語で、動詞の過去連体形-ㄴ/은と形容詞の現在連体形-ㄴ/은が同じなのも、これと同じことなのです。