火曜担当、編集のわっしーです。
今日は、僕がいろいろな学習書を眺めていて思ったことを書こうと思います。

突然ですが、입학(入学)という単語を発音通りに書くと、どうなるでしょうか?
韓国語の学習書では、これについて[이팍]と書いてあるものと、[입팍]と書いてあるものがあります。
中には、[입팍~이팍]というように揺れがあると示しているものもあるでしょう。
学習者の皆さんの中には、どっちが正しいの?と思っている方もいらっしゃるかもしれません。

実はこのような場合、韓国語では、発音上の区別は存在しません。
つまり、どちらかが正解でどちらかが間違いというものではないのです。

韓国語では、「語中に激音や濃音があるとき、その直前に同じ調音点のパッチムがあるかどうかは区別されない」と言われています。
例えば次のようなペアは、一文字ずつ区切って発音しない限りは、区別されることはありません。

갑판 : 가판
[갑판~가판]

악가 : 아까
[악까~아까]

これは、[갑판]からㅂが脱落して[가판]にもなりますというような話ではなく、初めから韓国語の中にこの2種類の区別が存在しないということです。
ですので、가판や아까が[갑판][악까]に聞こえる!ということもありますし、さらに言うと、これら二つを区別しようと努力する必要はないわけです。

これは、日本語話者にとっては違和感のあることかもしれません。
日本語では、「来た(kita)」と「切った(kitta)」を区別するように、子音の前にもう一つ子音があるかどうかを厳密に区別するからです。
例えば、못하다のフリガナが「モタダ」と書いてあると、どこか変だと思う方も多いのではないでしょうか? 「モッタダ」のほうが自然だと思う方も多いかと思います。
しかし韓国語では[모타다]か[몯타다]かという区別が存在しないため、日本語のフリガナを付けるときは「モタダ」「モッタダ」のどちらでも良いのです。
フリガナや発音表記を付けるときは、統一的な基準をあらかじめ決めておき、一つの本や記事の中で表記がバラバラにならないようにだけ注意して書いていくことになります。

韓国語の発音表記は「音が出る通りに書く」とよく言われ、ともすると一通りに決まりそうですが、実は書く人の判断次第で変わる部分も存在します。
いろいろな本の発音表記を見比べてみるのも面白いですよ!