こんにちは。皆さんのお住まいの地域では雪は積もりましたか? 私の住む東京では、心配していたほどの雪は降らなかったものの、冷たい雪と雨が半日降り続きました。ちょうど屋外での用事があったものですから、本当に滅入ってしまいました。そんな、お天気の中、屋外の作業に勤しんでいるときに思い出したのが、韓国で暮らしていたときに、韓国の友人から聞いた言葉です。

その日は大雨が降って、楽しみにしていた予定が中止に。しょんぼりする私に、友人が「雨が降っているから、マッコリでも飲もう!(비가 오니까 막걸리나 먹자!)」と言ったのです。私がキョトンとしていると、友人は「なぜって、韓国人は雨が降ったらマッコリにチヂミだよ!」と、とても答えとは思えない返答をし、民俗酒店(민속주점)と呼ばれる、昔ながらの韓国料理とマッコリを楽しむ居酒屋に連れて行ってくれました。

なぜ雨の日に韓国人がマッコリを飲むのかについては、さまざまな説があるそうです。1つ目は、雨の降る音が、チヂミを焼く音と似ているため、雨が降るとチヂミが食べたくなり、そしてチヂミに合うマッコリが飲みたくなるという説。2つ目は、農業をして暮らしていた昔から、雨が降ると、仕事を休み、家でマッコリを飲んでいたからという説。そして3つ目は、雨の日、人体は低血糖になる傾向があり、血糖値の上がる糖分・炭水化物たっぷりのマッコリと、オイリーなチヂミを欲するからという説。

どの説も正しいような正しくないような・・・・・・。日本人の私には、なかなか理解しがたいのですが、なにはともあれ「雨が降ったらマッコリ!」と、韓国人のDNAに組み込まれているのでしょうね。それにしても、生憎のお天気が、一日を楽しむための口実になるという。素敵な文化だなあと、しみじみ思います。

そんなマッコリも、「二日酔いが酷いお酒」「年配の方が飲むお酒」というイメージから、韓国の若者たちに蔑ろにされていた時期がありました。しかし近年、日本で起きたマッコリ・ブームが逆輸入され、韓国でもマッコリ・ブームが到来。乳酸発酵したマッコリは健康や美容に効果あり!と、女性を中心に話題になり、おしゃれなマッコリ専門バーが登場したり、栗やナツメ、蜂蜜など、さまざまなフレーバーのマッコリが登場したりするなど、一躍トレンドとなりました。

日本では、韓国料理に合わせて飲むことの多いマッコリですが、韓国では、韓国料理の中でも、特にマッコリと相性がいいと言われる料理があります。一番有名なのは、やっぱりチヂミ(전)! 緑豆粉で作ったチヂミであるピンデトック(빈대떡)も外せませんね。ほかにも豆腐キムチ(두부김치)、どんぐりの粉を煮固めたドトリムック(도토리묵)、エイを発酵させて作るホンオフェ(홍어회)、イカの辛い炒め物オジンオポックム(오징어 볶음)、魚卵のスープ(알탕)、貝のスープ(홍합탕)、おこげ(누룽지)・・・・・・などがあります。先に紹介した民俗酒店と呼ばれる居酒屋は、そんなマッコリと相性抜群の韓国料理を扱うお店なのですが、逆にそれ以外の店では、マッコリ自体を扱っていないという場合もよくあります。ですので、韓国の人たちは、「マッコリを飲もう!」となったら民俗酒店に足を運ぶのです。

「あさりのマッコリ蒸し」のレシピ

今日は、そんな韓国の国民的お酒、マッコリを使って作る、日本料理の定番「あさりの酒蒸し」のレシピをご紹介したいと思います。本来は日本酒で蒸すお料理ですが、マッコリを使って蒸すと、独特のやさしい甘みやコクを楽しむことができます。また、韓国風にアレンジし、にんにくの香りや青唐辛子のすっきりした辛さを楽しめる一品になっています。材料をトゥッペギに放り込んで5分でできるというお手軽さも魅力のひとつ。マッコリのおつまみにあともう一品ほしい、というときにぜひ作ってみてくださいね。また、マッコリと一緒に楽しみたいキムチチヂミのレシピも掲載しました。

あさりのマッコリ蒸し.JPG

あさりのマッコリ蒸し 
<材料>2人前
あさり        250g
マッコリ        100ml
にんにく        1片
生青唐辛子    2本
塩        適宜

<下準備>
1:あさりは流水で擦りながら洗い、砂抜きしておきます。にんにくはみじん切りに、青唐辛子は小口切りにしておきます。

<作り方>
1:トゥッペギに、にんにく、青唐辛子、あさり、マッコリを入れ、強火にかけます。
2:5分ほどで、あさりがすべて開くので、火を止め、塩で味を調えて完成です。

キムチのチヂミ
<材料>2枚
薄力粉        130g
片栗粉        20g
だし汁        120ml
キムチの汁    大さじ2
キムチ        100g
たまねぎ        1個
塩        小さじ1
ごま油        適量

<下準備>
1:キムチは細切り、たまねぎは1cmの角切りにしておく。

<作り方>
1:ボウルに、粉類と塩を混ぜたら、だし汁とキムチの汁で、ダマにならぬよう溶き、キムチとたまねぎを入れ、軽く混ぜ合わせます。
2:フライパンにごま油をひき、中火で熱します。1の生地を流し入れ、中火で焼いていきます。片面に焼き色がついたら、ひっくり返し、フライ返しで押さえつけながら、もう片面も焼き色がつくまで焼いて完成です。

あさり蒸しで使用するマッコリは、できるだけ人口甘味料が添加されていないものを使用しましょう。あとは材料を入れて火にかけるだけなのでとっても簡単です。キムチのチヂミは、多めの油でカリッと揚げるように焼くのがポイントです。フライパンに流し込む生地が多すぎると、中まで火が通りきらず食感が悪くなるので注意しましょう。チヂミは、生地自体に味がしっかりついているので、タレにつけずにそのまま食べられます。

どちらもお手軽にできるレシピなので、雨の日でなくても、マッコリを楽しみたい日に、ぜひ作ってみてくださいね。